2007年2月20日火曜日

<作品解説>

<作品解説>

老人はなぜ最後の秘境墨脱(モォトゥオ)へ向かったのか

 山登りを趣味としていた上海のある老人は、死ぬまでに100の山を征服しようと各地へと旅に出た。しかし中国西蔵(チベット)自治区の山奥にある墨脱(モォトゥオ)という土地には、自動車が通行できるような道もなく、そこの子供たちは学校に通うのにも数千メートルの危険な山を命がけで歩いて行かねばならなかった。それを知った老人は私財をはたいてモォトゥオに学校を作り、今はそこに暮らしているという。
 そんな老人の存在を知り、心を打たれた上海の新聞記者ワンは老人に会って取材するべく、麓の村までやって来た。そして、その老人を診察する為にやって来たわがままな女医、地元の校長やその娘らと共に、中国最後の秘境モォトゥオへの過酷な旅へと出発するのだった。しかし一行のモォトゥオへの道のりは困難と危険を極め、熱帯性森林、激流、峡谷、断崖絶壁を通り抜け、突然襲ってくる雪崩、猛吹雪、土石流にも直面しなければならなかった。

中国で唯一自動車道路の通らないチベット奥地での撮影

 国内に多数の映画撮影所を抱える中国。本作はそのひとつ、内蒙古(内モンゴル)自治区の内蒙古映画撮影所で製作された。そして、監督のハスチョロー(哈斯朝魯)は、地元モンゴル族出身の映画監督である。
 物語は実話のルポルタージュ「走進墨脱」をもとにして作られた。チベット自治区東南部の墨脱(モォトゥオ、メド)県は、ヤルンツァンポ大峡谷や巨大瀑布群、希少動植物の生息地域として、あるいはヒマラヤの雪男「イェティ」などの伝説で知られる秘境で、いまだ自動車道路の通らない中国唯一の土地である。このことからも墨脱(モォトゥオ)が「中国最後の秘境」と呼ばれる由縁の一端がうかがい知れるだろう。しかし2005年中国交通庁によりチベット自治区内の道路を延長することが発表され、2010年までには墨脱県にもとうとう自動車道路が建設される見込みである。
 

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